平成21年3月つくば市議会 瀬戸議員質問(特別支援教育
瀬戸
特別支援教育についてお伺いします。
 市長の施政方針の中には、障害のある児童生徒について、特別支援教育支援員を配置し、障害のある児童生徒の支援と他の児童生徒の学習環境の確保を図るという方針を出されていますが、障害のある児童生徒の現状は、中学校進学の際に地域の学校への進学が選べない、小学校、幼稚園、保育園への入学、入園を断られるというケースもあると聞いております。
 特別支援が必要な子供たちが年々ふえている状況の中で、市は、県に対して特別支援学校の拡充を申し入れるだけではなく、さきの方針のもとに地域の市立学校での受け入れについて示す必要があると考えますが、いかがでしょうか。

教育委員会事務局長(太田佳克君)
特別支援教育についてお答えいたします。
 障害があるため小中学校の通常の学校での教育を受けることが困難であったり、通常の学級では十分な教育的効果が期待できない児童生徒に対しましては、その可能性を最大限に伸ばし、自立し、社会参加するための基盤となる「生きる力」を培うため、特別の配慮のもとに、より手厚くきめ細かな教育を行う必要がございます。県の特別支援学校、それから公立小中学校の特別支援学級は、そのために設けられております。
 つくば市では、障害の種類や状態を的確に判断するために、専門的知識を有します就学指導委員会を設けるとともに、保護者に対する相談体制を強化して、児童生徒一人一人の障害に適切に対応できる学校への就学を指導しております。
 しかしながら、保護者の中には、子供が重度の障害を持ち、特別支援学校の判定が出ているにもかかわらず、普通学校への就学を希望する方もおられます。ただし、結果的には、普通学校へ入学しても、自立支援、それから機能回復訓練など適切な指導ができないため、かえって普通学校に入ったことがマイナスになる場合も見受けられます。
 教育委員会としましては、障害を持つ児童生徒のことを最優先で考え、最適な教育を受けられる学校を判定しておりますので、保護者の皆様にもご理解願いたいと考えております。
瀬戸議員
特別支援教育について、小学校入学に当たって、障害のある子供を持つ家庭への就学相談の機会は手厚く対処していると伺っております。にもかかわらず、保護者の希望するような就学、就園ができないという話も聞いております。就学に関しては、その子供にとって何が最良なのかということが、相談する側、相談される側で食い違うことが多いのではないかと、私は常々思っております。個々の障害の状態はそれぞれに違いますし、この児童にはよいと思われることも、別の児童には不都合だったりするわけです。一律にするわけにはいかないわけですから、一人一人に合ったきめ細やかな対応が求められます。
 今回ここでお聞きしたいのは、小学校から中学校へ進学する際の対応についてなのですが、この場合の相談事業はどのように進められているのでしょうか。地域の中学校への進学と、県立特別支援学校への進学が考えられるわけですけれども、新年度に向けて進学についての相談はいつごろから始めて、これは時期ですが、だれが相談業務を担当し、回数はどの程度行われるのでしょうか。また、これは口頭で行われるのでしょうか、それとも文書を交わして行われるのでしょうか。
 また、地域の中学校や特別支援学校をそれぞれ訪問して、学校生活についての説明や不安に対する質問応答などがやりとりされるような機会は設けられているのでしょうか。
 保護者は、障害のある子供を育てながら、いつも将来に不安を抱えております。今現在が滞りなくても、1年先、2年先に安定があるかどうか、受け入れてもらえるかどうか不安を抱えております。
 つくば市特別支援教育は、周辺自治体に比べて進んでいる評価しております。その最新の対応をオープンにして、情報として、就学や進学の直前ではなく、余裕を持って保護者と児童本人が慌てることなく検討できるような体制をとっていただけないでしょうか。そういうふうにしていただきたいと私は思っております。
 先生と保護者の緊張したやりとりばかりではなくて、気軽に話せる相談員が中学進学の折にも対応していただけると、コミュニケーションがとりやすくなるのではないでしょうか。
 ここに、平成19年4月1日付で各都道府県教育委員会教育長にあてた「特別支援教育の推進について」という通知があります。そこには、保護者からの相談への対応や早期からの連携という項目があります。ちょっとご紹介したいと思います。
 各学校及びすべての教員は、保護者からの障害に関する相談などに真摯に対応し、その意見や事情を十分に聞いた上で、当該幼児、児童生徒への対応を行うこと。その際、プライバシーに配慮しつつ、必要に応じて校長や特別支援教育コーディネーター等と連携し組織的な対応を行うこと。また、本日施行される学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令、平成19年政令第55号というものだそうです。障害のある児童の就学先の決定に際して保護者の意見聴取を義務づけたことにかんがみ、小学校及び特別支援学校において障害のある児童が入学する際には、早期に保護者と連携し、日常生活の状況や留意事項等を聴取し、当該児童の教育的ニーズの把握に努め、適切に対応すること、とあります。
 就学先、進学先の決定に際して本人、保護者の意思を十分に聞き取り、納得のいくよう意思の疎通を図ることをお願いしたいと思います。
 質問は、新年度に向けて進学についての相談はいつごろから始めて、だれが相談業務を担当し、回数はどの程度行われるのかということです。小学校、中学校それぞれの場合をお聞かせください。また、先ほど申し上げました文書なのか、口頭で行われているだけなのか、お答えいただきたいと思います。

教育委員会事務局長(太田佳克君)
就学指導に関してのご質問でございますが、保護者に対して、現在、我々や就学相談員が親身になって相談に対応しているような状況でございます。時期に関しましては、年度当初から対応を始めております。年に大体8回から9回の就学指導委員会を通しながら、その障害の度合いと就学先を判定しております。これには、十分保護者とともに考えて、結論等判断をしているわけでございます。
 その方法としましては、文書というのは、結果的にはこういう形があなたの場合は適当ですよという判断の通知をするものでありまして、その前段としましては、面接で、保護者と就学相談員、それから我々の担当職員等が間にありまして、いろいろ親身になってお子さんのために何がいいのかということを相談しているような状況でございます。
 それから、担当者ですけれども、事務局職員は2名から3名、就学相談員は現在4名で対応しているような状況でございます。
 学校の訪問も、適宜必要に応じて行っているという状況でございます。

瀬戸議員
特別支援教育についてです。就学指導委員会の判定どおりに進めるということが前提ということですね。保護者が納得するところまで行き着いているのでしょうか。判定というのがどんなふうに、先ほどはお医者さんですとか、専門の方を入れてとおっしゃっていましたけれども、これがすべてなんでしょうか。判定に従うことを前提にしてお話が進められているということ、それから相談のときに、学校側と教育委員会から4名の方、それに対してお一人の保護者の方ということになりますよね。その4名の方が、判定に従っていくことを前提にしてお話をされたらば、なかなかその場で保護者の方は自分の希望とか言えないんじゃないかなと、そういう想像は私の方ではしてしまうんですけれども。
 文科省は、障害児教育の方針を転換しております。就学先の判断を、ご存じだとは思いますけれども、弾力化するなどの特別支援教育を打ち出しました。就学支援委員会についても、一律に設置を義務づけるものではいという見解を示しております。国では就学支援委員会の設置を義務的なものではないと言っているんですよね。判定には権限はないと、そういうことではないでしょうか。
 判定、どこかでそういうものを出して目安をつけるというのは必要かもしれませんけれども、ご本人たちの立場に立って、そしてそういう前提を持たずにゆっくりお話を聞いて、何といってもコミュニケーションで理解をし合うということじゃないかなと思います。そのあたりお願いしたいと思いますが、相談に当たる先生の場合に、もう少し障害を持つ子供や、それから特別支援教育ですとか養護学校についての知識が欲しいなと思います。
 養護学校に行った方があなたのためになるとか、その方ができることがたくさんある、それから普通学校では支援受けられないので何もできないよ、大変なんだよと言われるらしいんですけれども、そう言われているばかりでは、養護学校へ行って何がどんなふうにいいのか、普通学校ではやっぱりだめなのか、何がだめなんだろうとか、そういうところが全然伝わってこないわけですよね。ただただ、判定に従いなさいという方向しか示されないというのは、とてもつらいものがあると思います。
 養護学校を見学したこともない先生が、抽象的なそういう話ばかりしていたのでは、子供にとって本当に養護学校がいいところばかりなのかなという親御さんの疑問があって、そして判断なんかとてもできないような状態なんじゃないかなと思われます。学校と保護者との信頼関係が築ければ、そういうところもゆっくりとお話をして、例えば年度初めから始めているとおっしゃいましたけれども、かた苦しい相談ばかりではなくて、もっとふだんからいろいろな情報を手にして、例えばさきに進学した子供たちが一体今どこの学校でどんなふうにやっているとか、そういうことが子供たちや保護者の方に伝われば、またもっと違う対応ができるのではないかなと、そんなふうに思います。
 目黒区の取り組みなんかもあります。ご存じでしょうか。ホームページを見ていただくとわかるんですけど、目黒区では特別支援学級を学校それぞれに置いておりまして、どういう子供たちがどんなふうな毎日を過ごしいるかというようなことが、ホームページの上にだれが見てもわかるようになっております。そういうのを見ますと、自分の子供が対象になるなと思ったときに、一度行って見てみようかなという気持ちにもなるんですね。つくば市も特別支援の方に力を入れていらっしゃので、ぜひそういうようなことも参考にしていただいて、やっていっていただきたいなと思います。
 中学校へ進学する際の就学相談について、判定ありきではなくて、時間的余裕を持って検討、判断できるような体制をとっていくことについてどのように考えているか、再度お伺いしたいと思います。

教育委員会事務局長(太田佳克君)
就学指導の判定の件についてお答えしたいと思います。
 私たちの立場としますと、その判定をどういう形で出すかという大前提なんですけれども、その子にとって何がいいのか。要するに、普通学級でいくのがいいのか、それとも支援学級がいいのか、養護学校がいいのか。その子にとって将来何がいいかということを、まず第一に考えております。そういうことによりまして保護者と十分話し合い等を行いまして、それで就学指導委員会の中で、こういう状況であれば養護学校がいいだろうとか、そういう判断をしております。そして、その判断に基づいて、また保護者といろいろお話をして、あなたのお子さんの場合はこういう結果で、こういう事情で、例えば養護学校が子供たちにとってはいいですよという形で、今、説明しています。それを無理に前提ありきで話しているわけではない。そういう状況であなたのお子さんには適していますよという形でお話をして、お互いの理解を求める、保護者にも理解を求めるというスタンスで我々は仕事に当たっている、そういう状況をまずご理解願いたいと思います。前提ありきということではない、保護者といろいろ相談をして、その子に一番適した形がこういう形ですよというのをお示ししているということですね。
 その後、いろいろ保護者の方でも、普通学級の方がいいんだという形で強く要望してくる場合もございます。そのときは、ある程度譲歩できる面はお互いにどこまであるのかとか、そういう細かい点の打ち合わせとか、そういう形にはなってくるかと思います。
 しかし、もし体が動かなかったような人がいた場合に、普通学級で果たしていいのかどうか。それに適した環境の養護学校がもしあれば、そちらの方がその子にとっては将来的には自立訓練とかいろいろな面でいいわけでございますので、そういう判定のもとにいろいろ指導をしているという形でございます。
 それと、養護学校についてのPR不足みたいなことをおっしゃっておられたと思います。しかし、今、議員がおっしゃったようなことに関しましては、就学指導委員から、また専門の担当の方から、すべて保護者に対しては伝えているような状況でございます。養護学校についても、こういう状況ですよという話は十分伝えているような状況でございますので、その点ご理解願いたいと思います。