障害者自立支援法一部「改正」法案の問題点

 いくつかの問題点があり、またいくつかの改善点があるようですが、地域で介助を受けて自立生活する者にとって関わる支給決定プロセスの問題点をまとめてみます。
 大きなは、障がい者制度改革推進会議の議論が踏まえられていないことがあります。その上で今回の改正によって支給決定手続きの見直しがなされます。どのように変わるかというと、市町村長が特定相談支援事業者の中から指定特定相談支援事業者を指定することになります。支給を受ける障害者は、市町村が必要と求めれば、指定特定相談支援事業者にサービス等利用計画案を作成してもらわなければならなくなります。それを下に市町村は支給決定することになります。
 ここので問題点は、市町村長が事業所を指定することです。市町村長がどのような考えを持って事業者を選ぶかによってその市町村の福祉に如実に表れてきます。また、指定特定相談支援事業者がサービス等利用計画案を作成するにあたり、障害者の自立生活について理解をしていなければ、トイレ、お風呂、通院、買い物などのいわゆる必要最低限のサービス等利用計画案となってしまい、市町村によってそのまま支給決定がなされてしまう恐れがあります。例えば、国庫補助の基準と支給決定量はリンクさせる必要はないわけですが、障害者一人あたりの国庫補助が決まっていればそれを基準にした計画になってしまうかもしれません。医療のように、主治医とは別にセカンドオピニオンに意見を求めようにも、その市町村に指定を受けた指定特定相談支援事業者が一つしかなければそれもできないのです。
 市町村長から指定されるわけですから、指定特定相談支援事業者は利用者の方をみて仕事をすることができずに市町村の意向を汲んだ形でサービス等利用計画案を作成することになり、ある意味、姿を変えた措置制度になってしまうかも知れません。
 このような問題点が今回の改正案での支給決定手続きはあるように思います。法案は来週中には参議院委員会で審議され、本会議で採決される予定です。是非国会へ意見を伝えましょう。